2011年9月14日水曜日

過熱する中国のペット美容業界。トリマーは花形職業?

China Daily記事翻訳)

チゥチゥは彼女の近所でかなりのファッションリーダーだ。散歩をするとき、スーパーモデルだけが切望するような類の視線を彼女は集めるのだ。

この若い都会のお嬢さんは、頭のてっぺんから爪先まで明るい魅力の美貌を誇っている。彼女の髪はなめらかなドーム状に刈りこまれ、その長いふかふかの耳とふさふさの尻尾はピンクとイエローに染色されている。

4歳のホワイトミニチュアプードルのメス犬、チゥチゥの飼い主のファン・レイさんは、彼女のペットをビューティーサロンへ1か月に2回連れて行く。

29歳のファンさんは、彼女のリトルプリンセスを溺愛している。


チゥチゥや中国の他の4本足の仲間たちは、出費を惜しまないペットブームの幸運な受益者だ。お抱え運転手つきのリムジーンで、あらゆる種類の動物がトリミングサロンに連れて行かれ、そこで飼い主たちは、シャンプーからトリミング、そしてファンシーなネイルマニキュアからヘアダイ、そして豪華な温泉まで、色々とペットを甘やかすのだ。

ペットブーム、そして、完璧なペットへの飼い主の終わりのない金のかかる追求に乗っかっているのがペットのトリマーたちだ。以前はほとんど知られていなかったこの職業が、将来性のある仕事としてホットなのだ。そしてこの仕事は、中国のペット業界のもっとも儲かる部門のひとつなのだ。

「中国のペット業界にとって、ペットグルーミングは駆け出しのビジネスですが、大きな成長の可能性を持っているのです」と、高級ペットサプライやグルーミングやトレーニングといったサービスを販売している、国内最大手チェーンのひとつであるKudi Petのゼネラル・マネージャーのリー・ヤンさんは話した。

リーさんの話では、中国のペットオーナー1人あたりのグルーミングサービスの消費額は、昨年のペットに関する消費全体額のほぼ40%にあたるという。

北京のペットオーナーが、シャンプー、トリミング、そして基本的なビューティケアを含んだペットのグルーミングに費やした去年の平均額は3,000元(4万円ほど)だったとリーさんは述べた。

Pet Worldは中国で最もよく売れているペット雑誌だが、国内には訓練されたトリマーが8,000人いて、この数字は2005年の4倍だと見積もっている。

急成長にもかかわらず、北京や上海などのメガシティや杭州市(こうしゅうし)や成都市(せいとし)などの2番手の都市では、ペットのトリミングへの需要が供給を大きく上回っている。ペットグルーマーの不足が、特に熟練のグルーマーに対する需要を必然的に押し上げている。

人気のあるペットスタイリストの1人がリー・ジンタオさんで、TV出演をするスターペットのためのイメージデザインやヘアケアなどの仕事がしばしば彼に依頼される。

中国北東部黒竜江省のハルビン出身のリーさんは、6年前に北京でペットスタイリストになった。そして、国内のペット美容師のコンテストで受賞したことで彼の名声は中国の津々浦々に広がった。

ペットグルーミングは動物を洗うだけではないとリーさんは話す。「ペットグルーミングは、トリマーの専門知識と創造性が要求される付加価値のあるサービスを提供するのです」

彼の話では、3年前の北京の新米ペットトリマーの平均月給は2,000元(2,5000円ほど)で、現在は倍額になったという。上海と杭州市ではこの仕事はもっと儲かる。新米トリマーの月給は、ここでは5,000元~6,000元(6万円~7万円ほど)だ。

12年の経験があるペットトリマーの平均月収は、大都市の人の10,000元(12万円ほど)の給料に等しいのだと、リーさんは話した。

この仕事の将来性と魅力的な給料が、プロのトリマー資格を望むより多くの人々をトリマー養成所に引きつけている。

トップレベルの訓練と専門技術が売りの養成所の中には、ヨーロッパやアメリカを含む海外からトリマーを雇用する学校もある。

北京のチェン・ウェン・ペットグルーミングアカデミーは、10年前に店を開いた中国のペットグルーミングの開拓者の1つだ。

このアカデミーの校長は中国のトップペットトリマーの1人であるマ・ヤンさんだ。中国でこの業界は、およそ20年の歴史がある西洋と比べて幼年期にあたるのです、と彼女は話した。

中国のペットスタイリストは、西洋の同業者から多くを学ぶことができます。というのは、ヨーロッパのペットグルーミングの伝統は18世紀までさかのぼるからです、と彼女は語った。

ヨーロッパでは、ペットトリミング業は幅が広くしっかりと確立されていて、業界の多様性を確かにする基準と規制があるのです。そのようなスタンダードが中国で採用される必要があります、と彼女は述べた。

「私たちは現在、一連の政策と業界を規制するシステムを確立し、そして、相対的に低いクオリティのトリマーたちを標準化する必要に迫られています」と、マさんは付け加えた。

マさんにとって良いニュースは、中国のペットスタイリストの国家標準が来年導入される、ということだ。このスタンダードの起草において、業界の長い経験者として彼女は参加を頼まれている。

「ペットトリミング業界は、裕福な経済の副産物なのです。継続的で急速な経済発展でもって中国は、この先10年間で、必ずやペット美容サービスの超消費大国となるでしょう」


読後の感想:
当然、犬に害のない染料を使用しているのだろうし、他人の趣味に難癖をつけるつもりもないのだが、染められた犬を私は美しいとは思わない。
ところで、中国ではコーギーの人気はどうなんだろう? 中国でも日本と同じように数種の小型犬が人気で、コーギーのよう中途半端な大きさの、どちらかというとオシャレではない犬はイマイチなのかな? まぁ、ブームになって乱繁殖の犠牲になるくらいならば、現在の日本でコーギーという犬種がおかれているステータスのように、地味だけれど真の愛好家に好まれて、落ち着いた人気を根強く維持している状態が良いのだと思う。

英文記事:
Pet trade's four Ps: prim, proper, profitable pampering
Updated: 2011-09-10 09:10 By Liu Lu (China Daily)